つなんち 2006年07月
本名です。(両親がマグロ好き)
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ゲロ戦記(謝罪)
岡田くん、おっとこまえやわぁ











浜木綿子の息子じゃな











・・・・・











( ̄o ̄)




「ゲロ」が止まりません。

あたしがその記事(ゲロ戦記)を書いたのは6月最後の日だから
ちょうどひと月になります。

ケツの穴が大きな人なら
歌でも歌いながら木陰で風をやり過ごすところなのでしょうけれど
あたしのハートは
毎日「ゲロ戦記」で検索していらっしゃる100人の方々に揺さぶられて
空の中を漂い、早鐘の波打ちをなだめる術がありません。


「ゲロ」だと分かってていらっしゃった方なら良いのですが
「ゲド戦記」のおつもりで辿り着かれた皆様におかれましては
あたしの初ゲロ話を聞かされるとは寝耳に水でございましょう。

そうなると本当に悲しいのは一羽で飛んでいる鷹ではなくて
「ゲド間違い」でお見えになったあなたさまということになるわけです。

何に例えようと訊かれても
その心を救う方法は残念ながら“つなんち”では入手出来ません。

ぜひこちらのステキなサイト様で箱舟を見つけて下さい。

ゲド戦記
(注:♪が流れます)




あたしはまだこの映画を観たわけではないですから
面白かった面白くなかったを語ることはできませんけど
近々観ようと思っています。

もしも心が動いたらいつか記事にしてみたいと思います。

せめて「ゲロ呼ばわり」の償いになるのなら。




( ̄ー+ ̄)


吐いたか(ゲロ)・・・・・・・・・・菅原 文太

「よろしくお願いします」 BLOGランキング限りなく透明に近い反省の色
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回ってない寿司屋にて
「お客様、踊り食いというのはそういう意味じゃないんですよ」

20時16分。
あたしはステップを止めて、振り乱した髪の毛に手櫛を入れる。

ああ、勘違いしてた。

あれは「舞い茸」の語源だった。




祐子が間違っているのは明白。

モナコ辺りのセレブな奥様に歩き方を教えるだけで
法外な しのぎを請求し
「シュッ シュッ」言いながら歩くおっさんの名前を
『デューク東郷』呼ばわりしたものだから逃げ切れない。

本日のスポンサー、
スロット10万勝ちのヒゲさん(通称)が待ったをかける。

「祐子、そりゃあゴルゴ13。

サ ラ イ エ !

デューク更家」





あたしは傍らでクルマエビの頭をチュウチュウしながら
みんなと一緒に笑ったけれど心の中で祐子に感謝していた。




デューク如月(きさらぎ)だと思ってた

一歩間違えばおかずにされたのはあたしの方。
マジさんきゅー。



ちょうどハモが運ばれてきた時に祐子が
「頭文字J」だと言い張ったものだから逃げ切れない。

ヒゲさんが笑いをこらえている店員さんに
ビールをすすめた。

「おにいさん、『J』に乾杯してやってクレヨン」

「おねぃさん、『D』っすよ『D』」



分が悪い。

祐子の分がすこぶる悪い。


車の漫画のタイトルを
男4人が口を揃えて『頭文字D』だと言ってるところへ
単身『頭文字J』だと討ち入っても勝ち目はない。

あたしは傍らでハモを梅肉の小皿の中で泳がせながら
みんなと一緒に笑ったけれど心の中で祐子に感謝していた。


頭文字(かしらもじ)Dだと思ってた

一歩間違えばおかずにされたのはあたしの方。
マジさんきゅー。




下津井の潮は流れが速いので
そこに住むタコは自然と筋肉質になるという。

その肉質は絶品で
歯ごたえがプリプリしてて甘味が強い。

あたしとしては
茹でて酢醤油かワサビあたりでチビチビ食いたいんだけど
生タコが一番美味い食べ方だと決められている節がある。

船盛りの端っこの方でブツ切りにされた足が
這い出ようとしてウニョウニョ動きまわっている。


これを、食えと?


まるでバツゲームですな。


たとえばどんなに美味しくても
あのウニョウニョを口に入れるくらいだったら
デューク如月(きさらぎ)の件やら
頭文字(かしらもじ)Dの件やらが発覚する方がマシ



笑われた腹いせだろう、
祐子がマウントポジションから無理やり生タコを口に持って来た。

死んでも口を開けないつもりだったけど
鼻を摘まれたから仕方がない。


一本食わされる。


唇の裏側やらホッペの裏側やらで『キュッポン キュッポン』する。

口角からニョロニョロ出ているところへ
携帯のカメラを向けられたから仕方がない。

白目でブイサインまではお約束の一本道。

シャッター音で腹を括った理由は
奢ってもらってるからだけじゃない。

本来なら二度バカにされてるはずなのに
親友のボケのおかげで救われたお礼のような気持ちから。

「一丁やるか」

スペースを確保するために
自分のお膳を床の掛け軸の前までズリズリひこずる。


20時11分。
あたしは本当の踊り食い(・・・・・・・)とはどんなものか知らしめるために
静かに腰を振り始めた。

「よろしくお願いします」 BLOGランキング20時15分。腰が佳境(MAX)に入った
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釣り船弁護士
あたしは今まで

スッチャデスさんが刑事でも
タクシードライバーがバンバン事件を解決しても
お座敷芸者が法廷で日本髪結ったまま弁護してても
フナコシの革手袋から指先っちょが出まくってても
山村紅葉がマバタキしないで長セリフを喋ってても
火野正平が露天風呂で素っ裸の女のコとお湯をかけっこしてても
木の実ナナの熱演をあたしのハートが受け止められず不眠症になっても

モンクひとつ言わないで受け入れてまいりました。



なぜならそれがサスペンスウォッチャーとしての
マナーだと思っていたからです。

ところがギリギリ踏みとどまっていたあたしの自律神経が
昨夜、ヘロヘロになってしまいました。










V3が言ぅーてました。
かつてデストロンが世界征服のために
なんやらとなんやらをくっつけた怪人は
それはそれは強かったそうです。


ハサミジャガー(ジャガーとハサミ)
カメバズーカ(カメとバズーカ砲)
テレビバエ(ハエとテレビ)
イカファイア(イカと火炎放射器)
マシンガンスネーク(ヘビとマシンガン)
ハンマークラゲ(クラゲと鉄槌・鎖分銅)
ナイフアルマジロ(アルマジロとナイフ)
ノコギリトカゲ(トカゲと回転ノコギリ)
レンズアリ(アリとレンズ)
カミソリヒトデ(ヒトデとカミソリ)
ピッケルシャーク(サメと鶴嘴)
ドリルモグラ(モグラとドリル)
ジシャクイノシシ(イノシシと磁石)
ガマボイラー(カエルと蒸気釜)
バーナーコウモリ(コウモリとバーナー)
ミサイルヤモリ(ヤモリとミサイル)
スプレーネズミ(ネズミと噴霧器)
クサリガマテントウ(テントウムシと鎖鎌)
ハリフグアパッチ(フグと魚雷)
ギロチンザウルス(肉食恐竜と断頭台)
ドクバリグモ(蜘蛛と注射器)
タイホウバッファロー(バッファローと大砲)
ウォーターガントド(トドと水中銃)
プロペラカブト(カブトムシとプロペラ)
ゴキブリスパイク(ゴキブリと鉄クギ)
カマキリメラン(カマキリとブーメラン)
ヒーターゼミ(セミとヒーター)
ワナゲクワガタ(クワガタムシと絞首リング)
カメラモスキート(蚊とカメラ)
カニレーザー(カニとレーザー光線砲)


釣り船弁護士(船頭と弁護士)


どうしましょう。これ。










今日は釣り客を乗せてアジ釣りな釣り船弁護士






事務所から急用の呼び出しをくらう釣り船弁護士







「先生、とにかく早く帰って来て下さい」







釣り客無視で帰港する釣り船弁護士






久々の入れ食いで上機嫌のまま事務所へ帰って来た釣り船弁護士






なりを見て釣り船弁護士を依頼者と間違える新配属の女弁護士






自分は弁護士だと説明中
またしても入れ食いの嬉しさが込み上げる釣り船弁護士






クーラーの中身を披露する釣り船弁護士

「まあ、見てくれよ」







『パカッ』






「うわー、りっぱなイワシですねぇ」






イワシじゃなくてアジだと力説する釣り船弁護士と
聞きゃぁしねぇ女弁護士





「刺身、煮付け、塩焼き、フライ。
鮮度がいいからどうやって食っても最高に美味いぞ」



あっ、なめろう
これで視聴率は いっただっき!

釣り好きとサスペンス好きを

まとめてゲットだぜ!



「よろしくお願いします」 BLOGランキングゲットされたあたし(趣味:釣り、サスペンス観賞)
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牡丹唐草文七寸
東に お義父さん
南に あたし
西に 旦那
北に お義母さん

お義父さんとあたしの間にお肉を盛った皿
お義母さんと旦那の間に野菜を盛った皿
それぞれの手元にはタレを湛えた小皿
テーブルの真ん中にはホットプレート

18℃の強風に設定されたクーラー
ボリュームが30に設定されたテレビ
すでにやっつけられた缶ビールの空き缶が
お義父さんと旦那の前に各々ひとつずつ



「い た だ き ま す」



3ヶ月ほど前、
お義父さんがその皿は絶対に初代柿右衛門だと言い張った時
味方になったのはあたしだけだったんだけど。


「ホントですね。
あたしが鑑定団で見たお皿とうりふたつですよ」


「おお、つなさんは目利きじゃな
柿右衛門の赤は、こう、見る者の心を惹きつけて離さんでな」


「中島先生が例のセリフを連発しちゃいますね、こりゃ」


「わっはははははは」


「うっふふふふふふ」




その皿が今、
ロース400gとカルビ400gとハラミ400gと
ミノ300gとホルモン300gを積み重ねられて
あたしとお義父さんの間に佇んでいる。


(深くは訊けない)


見て見ぬフリが最善手だとは分ってたけど
「あっ」って思わず発した時に
お義父さんが悲しい目をしてあたしを見てたから
お皿の件の触れないわけにはいかなくなったって言ぅ~か。


聞けば、
旦那の弟コージくんが町内ソフトボール大会に出たときの
参加賞だったことが久々に帰郷したコージくん本人の証言により
つい最近発覚したという。


お義父さんの背中が小さく見える。

3ヶ月前の味方になった件のお礼らしい。
頃合に焼けたミノを自分の小皿にひとつ
あたしの小皿にもひとつ

お酒に背を押されポツリポツリと嘆き節。

「思えば柿右衛門が
何の脈絡もなく一般家庭へ転がってるはずなどない。

それは百も承知のすけじゃ。

でも夢を持つのは自由だろ?

血の繋がった者の冷ややかな反応でくじけそうな心を
息子の嫁が優しく癒してくれたんだよ。


慈愛じゃな。

おとうさんはあの時つなの慈愛をひしひしと、こう、ひし・・・」



旦那とお義母さんは新庄のベルトが電光掲示板になってるのに夢中で
お義父さんの搾り出すような泣き言は耳に入らない。


あたしはお義父さんからいただいたミノを必死に噛み続けている。


頼んでないが、次のミノが届く。


もうかれこれ100万回くらい咀嚼してけれど
飲み込めれん。



(いけるかな?)

一点を見つめて嚥下のタイミングを計る。

ふと以前味わった“生き死に”がよぎる。

たしかその時も相手はミノで
こなれ具合もこんな感じで。

いけると思っていったら半分ノドのこっち側に留まって
おっさんさながらの逆流で生還したあの思い出が鮮やかに蘇る。


(いけん、もうちょっと噛まんといけん)


気づけば缶ビールの空き缶がお義父さんの前に3つ並んでいる。

あたしの小皿はお義父さんが運んできたミノで埋められている。


程なくアゴが限界を向かえる。
耳の直下辺りにやるせない筋肉痛が走る。

が、嫁の立場。
「ペッペ」はできん。

あたしは左右の掌で頭のてっぺんとアゴをはさみ込み「ンガンガ」して
使い物にならなくなったアゴのアシストを試みる。

その皿が柿右衛門であろうとなかろうと
そんなことより一秒でも早くこれらミノをかたづけ、
ロースやらカルビやらで舌鼓を打ちたい。

けれどもこのペースでは明日の朝まで噛んでいても
小皿のミノは無くならん。

それし、これ以上ミノを噛み続けると
アゴの止め金具が肉を突き破って飛び出すやもしれん。


いくら嫁でもできんもんはできん。


お義父さんの隙を見てミノを返品する。

見る見るお義父さんの小皿があたしの返品でミノだらけになる。

返品の返品が来る前に
キャベツで小皿にフタをする。

がっかりお義父さん。
背中がもう一回り小さく見えた。


(ちょっとやりすぎたかしら?)



「おとうさん、本物の柿右衛門だったらもったいなくて
こんなふうにお肉も盛れないですよ。
ニセモノでよかったじゃないですか」

と言いたかったんだけど
あたしのアゴには残念ながら
もうそんな長ゼリフを吐く余力は残っていない。

とにかく最後の力を振り絞って
ロース的な部分の側面をプレートに押し付け
内部に肉汁を閉じ込めるのが先決だ。

「よろしくお願いします」 BLOGランキング自叙伝「タンは片面のみを焼け」より抜粋
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浸る
バスの運転手さんは感極まっているのでしょう
窓から手を出して応えるのが精一杯のようです。

あたしは
右手の人差し指の横っ腹で鼻の下を擦って目を反らせます。

「お礼なんていらないから
早くお客さんを目的地まで運んであげなよ」

「美人という者は幼少の頃よりチヤホヤされて育っているため
兎角わがままで心は醜いものだと思い込んでおりました」

「およしなさいな。
あたしなんてせいぜい中の上。
ま、綺麗だとはよく言われるけど世間は広いもの。
この世にはあたし以上の美人がまだ10人はいるわよ」

「またまたご謙遜。
少なくとも自分はあなたほどの美人にお目にかかったことはありません」

「いやだわ。
ノーベル親切賞だけなら授賞式に行くつもりだったんだけど
ノーベル美人賞とのダブル受賞だなんて穴が無かったら掘りたい気分よ」

「あはははは」

「うふふふふ」

「あっはははは」

「うっふふふふ」





時間いい?
あ、そ。





市役所を背中に駅へ向かう片側三車線の目抜き通り。

ビブレが見え始める頃には
一番右の車線に入っていなければいけない状況なんだけど。

こう、どんどん。
こう、どんどん車が。
こう、どんどんどんどん車が。

未だ初心者マークを外せないあたしには
この通りでの車線変更は一生無理な予感。

そこへ教習所で習ったシチュエーションが。

信号は赤。
前の車までは車間距離が随分空いていたんだけど
「停止禁止(バスを除く)」とデカデカと書いてある。

確か(何か入ったらいけん)的な事を思い出したあたしは
道路のペイント手前で半信半疑の停止。

辺りを見回し、
自分の判断が正解なのか間違いなのか
あたしの車を見て眉間にシワを寄せてる人とかいないか
とにかくキョロキョロして情報をかき集める。

その時バスがお礼のクラクションを鳴らして
あたしの空けてたスペースに入って来た。


教習所でお世話になった三宅教官の顔が浮かぶ。


ウィンカーを出せばハンドルをきることを忘れ
ハンドルをきればウィンカーを出すことを忘れるあたしに
「運動神経に欠陥がある」と真顔で告知のスパルタ指導。

「スパルタ指導」 (よろしかったらご唱和下さい)



S字クランクでは「車内では立つな」とシッペによる愛のムチ
右バックでは「アゴを出すな」と見栄えに至るまでの人情教育。

「人情教育」 (よろしかったらご唱和下さい)



卒業検定で「合格しました」と報告したら
「何かの間違いじゃないか?」
と試験官に確認までして下さったいらん世話。

「いらん世話」 (よろしかったらご唱和下さい)



未熟なあたしは教官の真意を見抜けず
怒られるたびにペッペしたりしてゴメンなさい。

街中の喧騒が嘘のようです。
ハートのスクリーンではまるで無声映画のように
教官との思い出がフラッシュバックしています。

あー、思いやりのこころ。
あー、ゆずり合う優しさ。

とっくに信号は青になっていたけど
後方の車からの賛美のクラクションが鳴り止みません。

さあ、スカートの裾を摘んでカーテンコールです。

「よろしくお願いします」 BLOGランキング自叙伝「困ったら2段階右折」より抜粋
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まだいける。
そのオーブントースターには気の利いた装備は無く
上下に電熱線が張りめぐらされただけのシンプルなつくり。

タイマーも手でひねるやつ。

嫁入り七つ道具のひとつで高校生の頃からの相棒。
そんなこんなで情とかが生まれ、なかなか暇を出す気にはなれない。

愛しい熱きナイスガイ。

「ジョン・マクレーン」と名付けたのはもう10年以上前の話。
今は「トースター」と呼んでるけれど。

気に入ってるところは・・・
外からパンの焼け具合が確認できるとこかな♪

前面のフタが透明で頃合の焼け具合になったことが一目で分る。


ところが最近ジョンの調子がよろしくない。
下面の焼きが甘くなる。

なのでうっすらキツネ色になったあたりで一度パンを取り出し
裏返してパンを入れ直す。
計算上、A面B面均一に焼けることになる。
この技をあみだした時は天狗になっちゃって
ホッペのグルグルが目にも止まらんスピードに。

けれどもそこからの油断は万死に値する。

あたしはその万死をもう100万回経験している。


ちょっと目を離しただけでみるみるコゲコゲになる。

パンを裏返したことで安心してしまい
なにげに目についた新聞のチラシにハートを奪われてる間に
パンが極めて遺憾なことに。

だからと言って早めに取り出すと
乗せたバターが固まったまま、こう、ジュワ~ってならん。

「もうちょっと焼けば良かった」
と後悔しながらバターの塊に齧り付くと
自分の辛抱の無さに嫌気がさす。

そんな自分にサヨナラするために
ここ一番「パン焼き職人」となる。

大事なことは一番おいしい焦げる寸前を見極める目と
素早くバターを塗るための準備。

すでにバターを掬い取ったナイフを握ったまま
マバタキを控えてジョンの内部を覗き込む。

隙間から内部の熱が噴出し頬やら目やらを襲う。

が、
最高の焼き具合を見極めるためには怯むわけにはいかん。


5・4・3・2・・・





最高の焼け具合をピンポイントで見切り
左手人差し指と親指の先っちょでつまみ出す。


「熱っち!」


ああ、熱いさ。

だが怯まん。いや、怯めん!


チラシの上に放り投げる。

間髪入れずバター。


黄金色に輝く表面に苺ジャムをしこたま重ねる。


「宝石箱的なことや~」


より美味しくいただくために
大きな口で活舌良くくり返す。


「むしろ宝石や~」


ここからの注意点はただひとつ。


落としちゃいけん。


手を滑らせて床へ落とした場合なぜか高確率でA面が下になる。

B面が下になるのなら「フーフー」で乗り切れるが
A面が下になるとゲームセットとなる。





あたしの場合
「あっ!」から『ベチャ!』までがスローモーション。

小さい頃見た風景が浮かんだり
死んだおばあちゃんが優しく微笑んだり
走馬灯的なことになる。

恐る恐る床から剥がせばなんやかんやくっ付いて
ジャムがカラフルで賑やかになっている。


まさに宝石箱。




だが、オニキスじゃない。

アリや。

「よろしくお願いします」 BLOGランキング自叙伝「3秒ルール」より抜粋
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マンマミーア



材料

強力粉・・・・・・・・200g
ドライイースト・・・・小さじ1
砂糖・・・・・・・・・大さじ1
トマトジュース(無塩)140~150cc
塩・・・・・・・・・・小さじ1/2
バター(無塩)・・・・20g
乾燥バジル・・・・・・大さじ1
モッツァレラチーズ(固形タイプ)150g
ピザソース・・・・・・小さじ2


下準備

・バターは室温に戻す
・トマトジュースは42~43℃に温める
・モッツァレラチーズは1cm角位にカットしておく


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あたしのご機嫌は45°


パン教室で作るのはてっきりチョコマーブルだと思っていたら
トマトバジルだったことでハートの切り替えができなかった。

前夜より身体中がチョコマーブル仕様になっており
今更トマトやらバジルやらを受け入れる気になれない。

そこへもってきて受講者は
あたしとあのシャギー(“ブルゴーニュの密林で覚えたこと”参照)の二人っきり。

何回も会っているから話し掛けられれば挨拶ぐらいはするけど
基本的に嫌い。

一年前、あたしが仕込んだとはいえ
イカフライの授業で160℃の油が飛び散って
熱いおもいをした恨みは未だ晴れてはいない。

パンのタネを一次発酵させてる間に
シャギーがトイレへ行った。


チャンスじゃ。


チョコマーブルじゃなかった逆恨みも兼ねて
シャギーのテーブルでワナを仕掛ける。

湯煎で暖めているトマトジュースが浸かっているボールに
熱湯を注ぎ込む。

程なくタバコの香りとともにシャギーが帰って来た。

シャギーのボウルからおびただしい湯気が立ち上っている。

どんなにアホなシャギーでもその異常な湯気には気づく。

そして計算通りお湯に手を浸す。


「ぅ熱っちぃ!」

シャギーが踊った。


腹を抱えて笑いたいところだったけど
熱湯を注ぎ込んだのがあたしだとバレてはいけないので
パンのタネから空気を抜くための正拳突きの掛け声で
笑い声を誤魔化した。


「せいやぁー!せいやぁー!」


が、押し寄せる笑いに耐え切れずトイレにエスケープだ。


「いやぁ、たまらん。たまらん。郵便貯金」


シャギーのビックリした顔でご飯が何膳でも食えるわ。
いやぁ、たまらん、たまらん、郵便貯金。

ざまを見さらせ!
リズムに乗って脂取り紙で鼻の頭をキュッキュする。


努めて平静に教室へ凱旋帰国。

が、常温に戻していたバターが見当たらない。

咄嗟にシャギーを見た。

黒目を最上部へ移動させ口角を釣り上げている。

いの一番に冷凍庫を確認する。
なぜなら、あたしならそうするから。

あった。
カチコチバター。

こんなカチコチバターじゃぁ、パン生地に馴染まん。

ヒザをついた。

シャギーを睨んだ。

背中を向けて小刻みに震えていた。


━━仕返す。


背中を向けてる間に乾燥バジルの容器の中ブタを外してやる。

5分もしないうちにリベンジなる。

パン生地に山盛りのバジルがこんもり。

負けず嫌いのシャギーが「ビタミンタップリ」だと言いながら
そのままオーブンへ入れたのには正直驚いたが。

焼き上がったシャギーのパンは咳き込むほどのバジルをまとい
抹茶饅頭のようになっていた。


これが笑わずにおられようか!


悪友の仕業でラーメンを食べようとして瓶を振ったら
中ブタが無くてこんもりコショウの山が出来た経験が
こんなところで生きるとは。

五臓六腑が嬉しさのあまり痙攣するわ。

斜めに傾いていたご機嫌が真っ直ぐピンコ立ち。

勝利の雄叫びで焼き立てのトマトバジルブレッドに齧り付く。


「ウケケケケケケ」


チョコマーブルじゃないのは残念だけど
これが結構おいしい。

魂(ソウル)が地中海からの優しいメロディー(南風)に包まれる。
目を閉じるとそこはまるでフィレンツェのオープンカフェ。

「ボーイさん。
あたし、ミネストローネおかわりね。
とっても良い事があったの。
シャトー的なワインも貰っちゃおーかしら」

トマトの酸味にバジルの香り。
具のモッツァレラチーズが、こう、ジワって。

こう、ジワ~って。

ただ、これはどうみてもモッツァレラじゃない。


はんぺんだ。

「よろしくお願いします」 BLOGランキングチョグラッチェ(いっぱい感謝)
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チュウチュウ
チュウチュウが折れんのです。





祐子に言わせれば心を無にすることが肝らしい。

心に迷いが生じたとたんチュウチュウはグニャリと曲り
まるで介錯され損なった落ち武者のような佇まいとなる。





挙げ句、捻じ切らんといけんことになる。

捻じ切るとビニールの端がフニョフニョになり
こう、歯で本体部分をゴリゴリしていると
フニョフニョになったビニールの一部がちぎれ
知らず知らずのうちにビニールごと食ってしまうやもしれん。

「心配はいらん。
翌朝には暴れ出る」

と、祐子は名医気どり。

確かもそうかもしれんけど
出たかどうか毎朝小枝でほじくって確認するのはたまらん。

発見したら発見したで
その現実にあたしのハートが耐えられる保証は無い。

何とか『パキ』っとこう、『パキ』っとならんもんか?

試行錯誤している最中に
祐子が3本目だか4本目だかのチュウチュウを握って
首をコキコキさせ始めた。

「よう見とけ」

『フン!』『パキ』

気合い一閃。

赤いチュウチュウがものの見事に真っ二つ。

「アチョォォォォォ!」

そして流れるようにシャドウヌンチャクへ。

「ぅワチョォォォォ!」

「こう、ヒュンヒュンヒュンヒュン」

「こう、ヒュンヒュンヒュンヒュン」


このヌンチャク、繋がってないからもの凄い動きも可能。

飛び散る赤い雫は極めし者の証。
尖がらかした唇は勇者のしるし。

う~ん。
悔しいけどかっこいい。


腕相撲はどっこいどっこいなわけだから
チカラ以外の何かコツがあるはず。

そしてとうとう
祐子がチュウチュウを真っ二つにする一連の動作の中に
極めて怪しいワッグルを見つけた。

気合いを入れて折る瞬間、
祐子の鼻の穴が縦長になるのだ。

奥義かもしれん。

こうなったら居ても立ってもおれん。

『フン!』『グニャ』

『フン!』『グニャ』


『フン!』『パキ』

ぬお!でけたぁぁぁ!

「その呼吸、忘れるんじゃないよ」

祐子はそういい残して
長いトイレへ旅立った。



ふたりで13本食ってた。

翌朝を待たずして暴れ出たのであろう。

「よろしくお願いします」 BLOGランキングあたしのは14日未明に出た
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巨大おんな
七夕なのにロマンチックになれない理由を話します。


高校2年生。
7月7日。
6時限。

現国の伊原先生に悪気は無かったと思うの。

クラスメートの松本さんの身長が140cm弱。

たぶん先生は彼女のコンプレックスを取り除こうとして
極論しちゃったんだと思うんだけど。

「でっかい女は魅力がない」
と言って松本さんの頭をペコペコ2回軽打した。

クラスは笑いに包まれたけど
バレー部のドバ子(通称)185cmが椅子を倒して教室を飛び出した。

ドバ子の事情を知っているのは同じバレー部のあたしだけ。

変な使命感で事情を説明する。

「昨日、ハンドボール部のK君に告白して
『でっかい女は好きじゃない』
という理由でふられたばかりだったから・・・」

K君の名前を出してしまったことは
翌日ドバ子のスカートを借りて
吉良上野介という一発芸をして許してもらったんだけど
それはまた別の話。


とにかくドバ子のあとを追う。


考古学同好会の渡辺君が
屋上への階段を上るドバ子を見たと大騒ぎしたから大変。

まだ授業中の廊下を10組の35人が激しく走る。

あたしはついでにオティッコしてから屋上へ向かったので
最後列の憂き目に遭ったけれど
でっかいドバ子がフェンスをよじ登っているのははっきり見えた。


「来ないでぇ~!」


「早まるな!
でかい女にも魅力はある。
認めるから早まるな」


責任を感じた伊原先生が口先三寸の説得を試みるも
ドバ子のハートにかかったカギが開く事はない。

特別親友ってわけでもなかったけれど
事情を知るあたしが説得の最前線へ押し出された。

けれどもあたしは、
メル・ギブソンが飛び降りようとしている自殺志願者を
どうやって助けたかどうしても思い出せない。

雰囲気だけでも と思い
サイドの髪をダッカールで留めて後ろ髪を強調してみたけれど
「リッグス」と呼んでくれる人はいなかった。


騒ぎを聞きつけて天文学同好会顧問の柱谷先生がやって来たのは
Aドラム缶からBドラム缶まで走る相棒マータフ刑事のために
命がけの援護射撃をしていた真っ最中だった。

絶滅危惧種保護同好会の和泉くんが
「よくやったよ」という目をして
敵の銃弾を避けながら床をゴロゴロ転がっていたあたしの肩を
つとめて優しくポンと叩いた。


「おい、ドバ子。
そこから体育館の屋根の上の空を見てみな。
夜にはこと座の織姫星がきれいに見えるはずだ」


ドバ子が大人しくなった。


柱谷先生は続ける。


「牽牛に合うために一年も待ったんだぞ。
みんなで見守ってやろうじゃないか」

あたしの三文芝居と違って明らかにドバ子の様子が落ち着いてきた。

七夕のロマンチックな話をすれば
女のコはとりあえず耳を傾けるもの。

ESS同好会の設楽さんにいたっては
システム手帳にメモをし始めた。

女子はみんな柱谷先生の5分ほどの七夕トークに
ハートをわし掴みされてしまった。

「身体がデカいからどうした?
デカい女でもかわいい女は山ほどいるさ!

いいか!

織姫星はあの太陽の3倍もデカいんだぞ!」








(ええ!?まじ?うそ!)

お、織姫様って・・・そんなにでっかいんだ。

私の中の七夕伝説は巨大女の事実で台無しになっちゃったけど
ドバ子の命が救われたんだから仕方ない。


「先生、ごめんなさい」


ドバ子がフェンスを降りて泣きながら戻ってきた。

「もう、バカバカバカ。
ドバ子のバカぁー!」

クラスがひとつになった。




夕日の中
ポエム同好会の塚原さんがフェンスへ向かった。

「よろしくお願いします」 BLOGランキング1996年銅賞作文「トリニダード」から抜粋
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そして「ド」を叩く
もしも
フレデリックがジョルジュの恋愛遍歴を知ってたら
夜想曲を弾く気にはなれなかったんじゃないかしら。

だからと言ってノクターンの代わりに
あの曲(・・・)を彼が作った証拠にはならないけどね。


でもでも
ショパン国際ピアノコンクールの課題曲があの曲(・・・)ならば
あたしは今頃天才ピアニストの称号を欲しいままにしていたでしょう。




典子のバーで演奏するのは4回目。

迷う数字じゃないけれど、
面と向かって訊かれたので指を折って確認する。


「4回目です」

「不思議です。
もう何回もあなたの演奏を楽しんでる気がします」



・・・・・・・

そんなはずない。
あの曲(・・・)はここでしか弾かないから
たぶん彼はあたしを誰かと勘違いしているのでしょう。
さもなきゃ、口説いてる?

でも怒るところじゃないことは頭で考える前に気づいてた。

カクテルグラスに映してみても
キールが邪魔をしてよくわからなかったけれど
ホッペが赤くなっているのは
ハートの温度が急上昇したので想像できる。


「典子に借りたマニキュアがまだ乾いていなかったから・・・」


指の先を内側に曲げて『フーフー』
ヘタな演奏の理由をピンクの爪のせいにする。


「素晴らしいピアノでしたよ」


ああ、顔から火が出る。

あたしは100万回くびを左右に振る。

良かれと思って髪にふりかけた金銀のラメが
テーブルのパエリアにまぶれつく。


泣きとうなる。


「『ネコ踏んじゃった』以外を
リクエストしてもいいですか?」


聞き間違いであることを祈ったけれど。

真顔なところをみると彼はどうやら正気らしい。


(た、大変なことになった)


リクエストっつったって、
あたしが弾ける曲はあれひとつ。

やれポロネーズだぁ、
やれカンパネラだぁ、言われてもなぁ。


(もう一曲だけレパートリーがあるにはあるんだけどさ)


ウェイターさんにキールのおかわりをお願いして
リクエストの話をウヤムヤにしようとしたけれど
彼の視線が私のオドオドした目をロックオンしたまんま。

ムール貝の殻をふたつ顔にくっつけて
「ウルトラマン」
と叫ぶのが今の私にできる最善の逃げ道。

ジッポの音と私の「ジュワッチ」が重なったのは
偶然なのか狙い撃ちなのか
とにかく視界はムール貝に閉ざされてるわけだから
彼のハートの内は窺えない。

むせかえる私に気遣って
点けたばかりのタバコにチェイサーを垂らす。

わたしは自分の「ジュワッチ」が
ジッポの音にかき消されたんじゃないかと心配で
念のため「ジュワッチ」をもう一回くり返す。



そこで初めて笑った。



やっぱり一回目の「ジュワッチ」は聞こえていなかったらしい。

くり返してよかったとつくづく思う。

それに
この流れなら2曲目を「チャルメラ」にしても
怒られることはなかろうじゃないか。

「よろしくお願いします」 BLOGランキング2004年自叙伝「響け、ワルシャワの空へ」から抜粋
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